・「就活の軸」を聞かれるから、ちゃんと準備しておくように言われるけど、「就活の軸」って何なの?
・そもそも企業はなんで「就活の軸」を聞くの?
・聞く理由が分かれば答え方のイメージが分かるんですけど
このような疑問にお答えします。
本記事の内容
◆企業が本当に知りたい「就活の軸」とは何か?
◆学生から聞いた「就活の軸」のパターン
◆企業は「就活の軸」をどう判断するのか
◆「就活の軸」の決定的な評価の分かれ道
◆他社はどこを受けているか聞くワケ
◆「就活の軸」をどう話べきか
この記事を書いた人
今まで複数の企業の新卒採用担当者として実際に選考に携わってきました。
一方で大学などで就活対策の講師として就活講座やカウンセリングを行ってきました。
就活活動で、エントリーシートや面接で「貴方の就活の軸を教えてください」という質問に必ず遭遇すると思います。
なぜ多くの企業が就活の軸を聞くのか?
就活の軸を聞いて、どのように判断、評価するのか?
この点を知っておくことで、どのように答えるべきなのか、想像がつくと思います。
今回は、企業側は就活の軸をどのように聞いて、判断するのかということについて解説していきます。
話そうとしている就活の軸が企業にどのように思われているかを理解することで、今後の就活を有利に進めていくことが出来ます。
企業が本当に知りたい就活の軸とは何か?
就職活動では、就活の軸を聞かれる場面が必ずあると思います。
「就活の軸は?」なんて、ざっくりとした聞き方なため、実際どう答えるのがベストなのか?
迷うところですね。
そもそも、企業が問う就活の軸とは何なのか?
結論から言うと、自分自身の将来の働き方や目指す方向性を考えるときの価値基準と言っていいでしょう。
職業観に近いものですね。
学生の中に価値基準という大きな柱があって、その上で
具体的にはどんな仕事を目指すのか?
その先にはどんな企業で働きたいか?
という企業選択につながっていくわけです。
企業としては、その価値基準を知ることで、
なぜこの仕事がしたいと考えたのか?
なぜ弊社で働きたいのか?
という根本的な根拠をロジックで理解したいんです。
価値基準である自分なりの就活の軸を考えて確立するためには、それなりの作業工程が必要ですね。
根本的な部分ですので、今までの人生の中での経験や学びから価値基準が作られていくと思いますが、それを整理してまとめていく作業が就職活動における【自己分析】です。
そして、その価値基準を現実的に世にある様々な仕事に落とし込んで、企業を選択するための材料を見つけていく作業が【業界・企業・仕事研究】ということになります。
このように【自己分析】と【業界・企業・仕事研究】を経て、自分で考えて練り上げられた就活の軸はものすごく価値あるものですね。
そして、最終的には志望企業に対して、なぜその企業を志望するのかという【志望動機】につながっていくわけです。
就活の軸があっての志望動機ですね。
だから企業はまず就活の軸を聞きたいわけです。
そして軸の中身を深く知りたいのです。
そんなこと言われても、何か大変そうですよね。
就活の軸を作っていくのにそんな作業をしなければならないのか?
と思うかもしれません。
でも就活では【自己分析】や【業界・企業・仕事研究】をするべき、ということをよく聞くと思います。
この【自己分析】や【業界・企業・仕事研究】をきちんと行っていけば、就活の軸にたどり着くことができます。
そして就活の軸がしっかり定まれば、【志望動機】もスムーズに話せるでしょう。
志望動機については、以下の記事で解説していますので併せて参照してみてください。
就職活動をきっかけに自分自身と向き合い、そして社会にある様々なビジネスや仕事について知るということは必要なことですので、是非頑張っていきましょう。
早速就活の軸を作っていきたいという場合は、こちらの記事で具体的な作り方を事例を紹介しつつ解説しています。
学生から聞いた就活の軸のパターン
以上、企業が就活の軸を聞きたい理由について触れてきました。
でも正解がないだけに、就活の軸をどのように伝えていいかをイメージしにくい面もあると思います。
そこで、今まで聞いてきた就活の軸の事例を元に考えていきましょう。
実際に学生に就活の軸を聞くと色んな答えが返ってきます。
例えば、就活の軸を聞いてこんな答えが返ってきたとします。
「私の就活の軸は~」
・将来、海外との橋渡しをしたい、海外で新しい市場開拓にチャレンジしたい。
・エンジニアとして、最先端の技術を身に着け今までにないものを開発していきたい。
・チームスポーツの経験から、チームで協力して何かを成し遂げる仕事をしたい。
・大学時代に取り組んだSDGsにつながる事業、仕事がしたい。
・人とかかわる仕事がしたい、人を笑顔にしたい。
・社内の風通しがよく、意見を言いやすい環境で働きたい。
・自宅から通勤出来てワークライフバランスを重視した働き方をしたい。
あくまで事例の一部を紹介しましたが、いかかでしょうか。
そこで、学生が話す就活の軸をパターン別に分類してみましょう。
大まかには以下のような軸に分類できると思います。
上記の例はどこに当てはまると思いますか?
・将来は海外の市場開拓にチャレンジして行きたい
・最先端のIT技術を身に着けビジネスの流れを変えていきたい
・日本の埋もれた場所を再生して活性化したい
・営業として企業の課題解決を測っていきたい
・エンジニアとして自分の開発した製品を世に出したい
・お客様の満足度が高い店舗作りをしていきたい
・社会に貢献したい
・人と関わりたい
・笑顔にしたい
・人をサポートしたい
・成長できるかどうか
・リモート、副業OKが良い
・年功序列型か成果主義か
・ガツガツ系か落ち着き系かなどの社風重視
・社内の人間関係がフラットかどうか
・オンオフを明確にしたい
・今まで接した人事(社員)の人柄が良い
・企業の規模や知名度がある
・給与や休日休暇が希望に沿っている
・残業、福利厚生、転勤の有無等の条件が合っている
・ワークライフバランスが充実している。
実はどんな軸を話すかで、その学生の就職に対する価値観や姿勢、優先事項が浮き彫りになります。
これは、企業が採用の是非を判断するときの大きな判断基準となるんです。
企業は「就活の軸」をどう判断するのか
それでは、就活の軸の伝え方のパターン別に、企業はどう聞いて判断するのか?について解説していきましょう。
①なりたい自分、実現したい未来軸
多くの企業で本当に聞きたいと思っている就活の軸ですね。
是非こんな話をしたいものです。
きちんと【自己分析】をして、【業界・企業・仕事研究】の上で、自分と向き合い、自分自身の将来に対して、自分で考えて出した結論だと思います。
その上での就活の軸ですから、とても価値あるものですし企業も真剣に応対したいと考えます。
きっと、このような就活の軸を話した学生には深い興味をもって、もっと話をしたいと考えると思います。
②やりたい職種、仕事内容軸
こちらも、①のケースと同様な評価となる可能性が高いです。
こんな仕事がしたいという動機がしっかりしていて、それを表現できる学生は魅力的に映るものです。
最低限、こんな感じの就活に軸を話してほしいと思います。
③ざっくりイメージ軸
もう少し深掘りしてほしいな、と思われることが多いですね。
例えば、「社会に貢献したい」とありますけど、具体的に仕事を通じてどのように貢献したいのか?
「人と関わりたい」については、具体的にどのように関わりどうしたいのか?
というところまで深掘りして表現してほしいのです。
ざっくりしすぎて。ほとんどの企業に当てはまるよね、という感じになっちゃうんです。
④働き方や企業の社風、環境軸 ⑤企業を選ぶ時の条件軸
④⑤については、企業選択においてはもちろん大事なことなんだけれども、そこにどう働きたいかというという視点が見られないんですよね。
この視点でしか就活を考えていないのでは?と考えてしまいます。
と言いますか、自分自身の就活についてあまり深く考えていないのではないかと、考えが浅いという評価になりかねません。
姿勢が受け身の印象なんですよね。
企業は自分にどんなメリットを提供してくれるのか?という視点です。
もちろん、働く環境や福利厚生等の条件は、企業選択の上で重要な指標です。
この点は無視できません。
それは否定することはできません。
でも、価値判断で何を優先しているのか、採用する側の立場で言えば、どうしても将来そうしたいのか、どんな仕事がしたいのか、をまず聞きたいんです。
「就活の軸」の決定的な評価の分かれ道
①②③については、少なくとも主体的に自分自身がどうしたいかという視点が感じられます。
④⑤については、自分がどうしたいかというより、企業は自分に何をしてくれるのか?という視点ですね。
主体的な姿勢か?受け身の姿勢か?
就活の軸を聞くことで、否応が無しにそれが判断できてしまうんですね。
この違いは就活において、評価の大きな分かれ目となります。
やっぱり主体的に考えている学生が欲しいと思うんです。
もちろん、この点をどこまで重視するかは企業によって違いますよ。
一律で語ることは出来ませんが、色んな応募者がいる中で貴方が一つ突き抜けるためには必要なことだと思いますよね。
就活の軸を探る手段~他はどんな企業を受けているか?
企業は、就活の軸を確認するために、直接聞くという手段の他にも様々な手段を駆使します。
代表的なのが、
「他にはどんな企業を受けているのか」
という質問です。
よく聞かれると思います。
この質問の意図は、他で受けている企業を聞くことで、志望度がどれだけあるのかを探るという意味合いもありますが、この学生はどのような視点で企業選択をしているのかということを探るという意味もあります。
他に受けている企業を聞いて、
「この学生は、このような就活軸で企業をみているんだな」
と感じることがあります。
業界や業種が異なっていても、応募している企業群の事業内容や特徴から判断して何か共通する軸が見えてくれば納得するんです。
また、こうした企業群はどのような軸で選んでいるのか?と質問することがあります。
そこで、明確な答えがないと、あまり深く考えていないのでは?という懸念が生まれます。
例えば、
「企業イメージやブランドなど表面的な部分しか見ていないんだな」
という判断になることがあります。
表面的な薄いことしか言えないと、この学生は考えが浅いという結論になってしまい、見送りという判断になってしまうことは少なくありません。
就活の軸をどう話べきか ポイントまとめ
以上、就活の軸について、学生が話す就活の軸のパターンを紹介しつつ、企業はどのように判断しているか?について解説してきました。
就活の軸は、就活に対する根本的な姿勢や考えを表す指標として重要なんだという点を理解いただけましたか。
特に主体的か、受け身かという点について、就活の軸を聞くことで判断されてしまうということなんです。
こんな仕事がしたい、将来はこんなことを実現したい
こんな考えに至るには、【自己分析】と【業界・企業・仕事研究】という過程がどうしても必要となります。
そこまで真剣に自分自身の就活に向き合っているのか、が問われますので就活が始まるまでに確立しておきましょう。
以上を踏まえて、具体的な「就活の軸」の作り方については、あらためてとなりますが以下の記事を参照してください。
今回は以上となります。